お正月の初詣の際には、必ず御神籤(おみくじ)を引くという方も多いのではないでしょうか。それくらい身近である御神籤ですが、あまり深くその成り立ちや歴史について考えたことはないでしょう。御神籤についてもっと詳しく知ることで、より関心や興味が深まりさらに楽しむことができますよ。また、御神籤に対しての見方も変わるかもしれませんね。今回は、そんな御神籤について詳しく説明していきます。
目次
御神籤とは?その歴史は?
御神籤自体は、遥か昔から存在していましたが、その頃は神からの託宣を受けとる意味で国の政の決定などに用いられてきました。そのため、今のように気軽に個人が行う御神籤とはその意味合い自体は異なっていたと考えられます。今の御神籤の原型を考案したのは、元三大師良源という平安自体の天台宗の僧と言われています。そして、今のように人々が個人の運勢を占うために御神籤を引くようになったのは鎌倉時代からです。そのため御神籤発祥の地は、比叡山だと言えます。現に、比叡山にはそうした事を示す石碑も存在しています。
今や御神籤と言っても様々な種類のものがありますが、御神籤の元祖とも言える良源の考案した御神籤は、細長い棒に番号が書いてありそれを振って小さな穴から出して引くというものでした。今でもこうしたカタチの御神籤は珍しくありません。鎌倉時代などに行われていた御神籤は、凶の割合が全体の30%程度と比較的多く含まれていたものでした。
御神籤ではどんなことが占える?
御神籤は基本的に個人の全体的な運勢、吉凶を占うことが出来ます。個別の項目があり金運や健康運、勝負運などと細かく占うことも可能です。逆に、自分の悩みに合わせて深い内容を詳細に占いたい…そのような場合には御神籤は向きません。占いたい内容がハッキリと決まっている時よりも、1年の始まりに今年の運勢を占いたい、どんな1年になるのかを知りたい…といった時に御神籤は最適です。今年1年のアドバイスを神様からもらう、というのが現代の御神籤に対する主流の考え方となります。
御神籤を作成している女子道社とは
神社などへいくと、必ずといってよいほど置いてある御神籤ですが、この御神籤は一体誰が作っているのか?と不思議に思ったことはありませんか?今あるおみくじのほとんどは、山口県にある女子道社という有限会社で作成されています。有限会社で作られているの?と驚かれるかもしれませんが、女子道社は二所山田神社という創設約900年にもなる由緒正しい神社が運営をしている会社なのです。全国の御神籤の多くが、この女子道社で地元の女性が手作業で作成されています。
元々は、まだ女性の地位が低かった明治時代に、二所山田神社の宮司が女性の自立支援目的で御神籤作成に地元の女性達を登用していったのが始まりです。ですから、現在の御神籤は昔から伝わっている神様からの託宣という意味の他に、女性支援という別の意味合いが込められているものだと言えるでしょう。そう考えると、何気なく引いている御神籤も違ったものに見えてくるのではないでしょうか。
御神籤の正しい引き方や読み方
普段、お詣りついでに何気なく引いている御神籤の正しい引き方やその後の扱い方について見ていきましょう。
準備するもの
御神籤を引く際に準備しなくてはいけないのは、小銭になります。お賽銭用と御神籤用の小銭を用意しておくとよいでしょう。御神籤の値段は神社により異なりますが、大抵100~200円が多くなっています。
引き方
すぐに御神籤を引きたい!という気持ちは分かりますが、まずは参拝をしてからにしましょう。もし、気になっていることがあるようなら参拝の際にお願いをしておくと、御神籤でその結果を神様が伝えてくれると言われています。参拝をした後で、自分の好きな御神籤を引くようにしましょう。
読み方
心をおちつけて御神籤を引いたら、必ず書かれているアドバイスに目を通しましょう。大吉や凶といった部分ばかりを見て一喜一憂する人もいますが、実際に大切なのはその中身になります。御神籤の結果がどうであっても真摯に受け止め、それを自分の人生に生かすことに意味があるのです。
扱い方
御神籤は持ち帰っても、もしくは御神籤の結び所に結んで帰っても構いません。中には良い御神籤は持ち帰り、悪い御神籤は結んで帰ると考えている人もいるようですが、実はそういった決まりもありません。例え凶の御神籤を持ち帰っても縁起が悪いという事はないのです。
ただ、御神籤を持ち帰る場合は決して粗末に扱ってはいけませんし、ゴミに捨てたりしてもいけません。お財布などにいれて、時々アドバイスを読み返してみるのがお勧めです。持ち帰った場合、御神籤はゴミに捨てたりせずに神社でお焚きあげをするようにしましょう。もし、持ち帰っても大切に扱えそうにないというなら、結んで帰ったほうが良いかも知れませんね。
御神籤をやる上での注意点は?
御神籤は引くごとにその結果は変わります。だからといって、良い結果が出るまで繰り返す事は止めましょう。一度目の結果を受け止めて、良い方向へ向かうように努力をすることが大切なのです。例え凶を引いても落ち込む必要はありません。凶というのは、これからメ(芽)が出るという意味も持っているのです。
御神籤の魅力
初詣などでお詣りをしたら、御神籤も一緒に引くというのが今や日本の風習、文化のようになっているところがありますね。御神籤は一年の運試しくらいの軽い気持ちで行えるのが魅力ですね。とはいっても、粗末に扱ったりせずにそのアドバイスを胸に刻みその年を過ごすようにすると良いでしょう。